フル)” の例文
旧字:
こんな溜め息を洩しながら、大伴氏のフルい習しを守つて、どこまでも、宮廷守護の為の武道の伝襲に、努める外はない家持だつたのである。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
つまわかれの物語のあはれは、日本人が記録書を持つた時代には、既に知り尽し、聞きフルして居た。
日本文学の発生 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
フル年に花さく山茶花は、椿の字を宛てる花木の元の物である。それに代へて、今の椿を用ゐる様になつたのだ。海には「たぶ」、山には「つばき」、この信仰の対照を見せたかつた点もある。
古代研究 追ひ書き (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
それあの山部ヤマベの何とか言つた、地下ヂゲビトの歌よみが、おれの三十になつたばかりの頃、「昔見しフルき堤は、年深み……年深み、池の渚に、水草ミクサ生ひにけり」とよんだ位だが、其後が、これ此様コノヤウ
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)