旅籠賃はたごちん)” の例文
諸大名宿泊のおりの人数、旅籠賃はたごちんから、入り用の風呂ふろ何本、火鉢ひばち何個、燭台しょくだい何本というようなことまで、事こまかにしるしつけてある。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ばあやはへんに思つて まだ腰かけたばかりで旅籠賃はたごちんもきめないし日も高いのになぜさう理不尽にとめるのだ といつたら
銀の匙 (新字旧仮名) / 中勘助(著)
のべ旅籠賃はたごちんの外に肴代さかなだいなどつかはし下婢共げぢよどもにも少しづつの心付して友次郎お花をば駕籠かごのせ忠八はあとに付て藤澤宿ふぢさはしゆくを立出けり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
源右衞門は講の積み金を持つて出たのだけれど、それは今までの旅籠賃はたごちんと、御師おしへの禮物と、太神樂の奉納とに、あらかた使ひはたして、幾らも殘つてはゐない。
石川五右衛門の生立 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
なアに、誰がそんなことをしゃべるもんですか、まア取っといておくんなさい、私だってこうしてお世話になれば、旅籠賃はたごちんというものが助かっているんですから……。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
平次にも旅籠賃はたごちんの工面などがつく筈もなく、差し向き気のきいた叔母さんの心当りもありません。
銭形平次捕物控:239 群盗 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
お大名を泊めた時の人数から、旅籠賃はたごちんがいくらで、燭台しょくだいが何本と事細かに書き留めて置くような、そういうことに適した人間じゃない——おれは、こんなばかな男だ。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
平次にも旅籠賃はたごちんの工面などがつく筈もなく、差し向き氣のきいた叔母さんの心當りもありません。
銭形平次捕物控:239 群盗 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)