斬死きりじに)” の例文
事があったら斬死きりじにするつもりでいたから何も怖いことはなかったし、田舎へ戻って一家をなしている相弟子が大事にしてくれたから
安吾史譚:05 勝夢酔 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
仕損じたらそれまでだ、我々は斬死きりじにするか、或いは身を以て逃れるか二つに一つじゃ。自然、君にも充分に手が届かぬかも知れぬ。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
侍女たちを入れても、五十人に足らない手勢であったから、もし敵がこれへ来たら、斬死きりじにの覚悟であった。
日本名婦伝:太閤夫人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
文治郎は藤原が屋敷へ帰れば、われ斬死きりじにをして母一人になっても母の身の上は安心。
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そこで、斬死きりじにの覺悟で對手のむなもとに飛込んでゆく。
こんな二人 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
従って行く以上は斬死きりじにのほかに手のないこともわかっている、すでにその覚悟で行く以上は、未練がましい武装は後日の笑いを買うのおそれがある
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
と間違えば斬死きりじにするつもりでございます。
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
追手を待って、斬死きりじにと極めた顔して。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そこを落ち延びると、たちまち紀州勢が現われて藤本殿はあわれ斬死きりじにじゃ。いたましいことではあるが、その働きぶりは、さながら鬼神のすがたであった」
大菩薩峠:05 龍神の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「敵を待って、斬死きりじにか!」
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一度は村上義清の手から逆襲された時、五十余人でこれを守って守り通してその間に信玄の援兵が来た。二度は武田の末路の時、織田の兵をここで引受けて備中守が斬死きりじにした。
「竜之助様、あなたは斬死きりじにをなさる気か」
一同素肌で斬死きりじにいさぎよきには及ぶまい。