掘鑿くっさく)” の例文
「十尺進む毎に一尺下るのです。それからです炭層の始まる大浦坑は斜坑しゃこうです。地表から炭層傾斜に沿って掘鑿くっさくして行きます」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
トルク・シブ鉄道の建設技術員と土木労働者をスタノヴォイに大量移動して地底道の大仕掛な掘鑿くっさく工事を行ない、世界の歴史はじまって以来、かつて
地底獣国 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
地下道を掘鑿くっさくさせて、地底から城中へ入ろうとすると、郝昭もまた、それを覚って、城中から坑道を作り、その坑を横に長く掘って、それへ水を流し入れた。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その二人は、同じながら晩婚であって、滝人は二十六まで処女で過し、また十四郎は、土木工学の秀才として三十を五つも過ぎるまで洗馬隧道せんばとんねる掘鑿くっさくに追われていた。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
都民の家庭には必ず一個以上の防空待避壕が掘られ、そのほか都内の空地という空地、大道路という大道路には、大小無数の待避壕が、都民の手によって掘鑿くっさくせられた。
偉大なる夢 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
まず浮津川うきつがわの川尻から海中に向けて堰堤えんていを築き、港の口に当る処には、木材を立て沙俵すなだわらを沈めて、防波工事を施すとともに、内部を掘鑿くっさくして、東西二十七間南北四十二間
海神に祈る (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
発電所の掘鑿くっさくは進んだ。今はもう水面下五十尺に及んだ。
坑夫の子 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
こういう悪戦苦闘のあいだに、一方では、寄手の工兵がほりを埋めて、石垣の下に迫り、また、「金坑かなぼりの者」と称する土龍隊もぐらたいをつかって、地下道を掘鑿くっさくしてゆく。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)