拉典ラテン)” の例文
半面の真理ってのは什麽どんなものかと訊いたら、う一々訊くものじゃないと言った。兎に角奥さんは拉典ラテンもなかなか達者で校長さんよりも豪いそうだ。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
それがめいだった。園はその夜拉典ラテン語の字書をひいてはっきりと意味を知ることができた。いい言葉だと思った。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
希伯来ヘブライ語手写本猶太秘釈義ユダヤカバラ法(神秘数理術ゲマトリアとしてノタリク、テムラの諸法を含む)、ヘンリー・クラムメルの神霊手書法ニューマトグラフィー、編者不明の拉典ラテン語手写本加勒底亜カルデア五芒星招妖術
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
鴎外が忘れたというのはその歌を指しているのである。鴎外はなおもこれに註記して、先ず拉典ラテンの学名を挙げ、漢名石蒜。まんじゅさげ、したまがり、てんがいばな等の称あり。
カルロ・ナイン嬢はまさにその後者の方で、全体に小柄の方であるが、心持玉子たまご形をした拉典ラテン系統の顔の輪廓と、端麗花をあざむく眼鼻立ちと、希臘ギリシャの古彫刻そのままの恰好のいいくびすじと
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
だが私にはそれは唯の一語も分らなかつた、私のまるで知らない言葉なのだ——佛蘭西語でも拉典ラテン語でもない、多分ギリシア語か獨逸語なんだらうけれど、私にはどつちだか分らなかつた。
いな、独り独と英とのみではない。露西亜ロシア人はスラヴ民族を以て優秀なりと認むれば、仏蘭西フランス人は拉典ラテン民族を以て優秀なりと認める。しかして、皆相持して下らぬ。即ち、其処そこ禍機かきが潜伏するのである。
列強環視の中心に在る日本 (新字新仮名) / 大隈重信(著)