さえ)” の例文
新しい唐の制度の模倣ばかりして、もろこしさえがやまと心に入り替つたと謂はれて居る此人が、こんな嬉しいことを言ふ。家持は感謝したい気がした。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
下心したごころ。——天下てんか諸人しよにん阿呆あはうばかりぢや。さえ不才ふさえもわかることではござらぬ。」
孔雀 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
さうした濶達なやまとごゝろを赴くまゝに伸して居る間に、さえ優れた族人が、彼を乗り越しかけて居た。姫には叔父、彼——豊成にはさしつぎの弟仲麻呂である。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
此は一層、郎女の望むまゝに、さえを習はした方がよいのではないかと言ふ気が、段々して来たのである。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)