扇山せんざん)” の例文
「じつは当寺の裏山、扇山せんざんの奥に、わたしのおさななじみがおります。久しぶりで、その友だちに会いたいとおもいまして、はるばるたずねてまいったのです」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その底にすむ金色こんじきひとみ、かしらの逆羽さかばね、見るからに猛々たけだけしい真黒な大鷲おおわしが、足のくさりを、ガチャリガチャリ鳴らしながら、扇山せんざん石柱いしばしらの上にたって、ものすごい絶叫ぜっきょうをあげていた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、忍剣にんけんおくへとってかえして、鉄の禅杖ぜんじょうをこわきにかかえてきた。背には左文次さもんじがもたらした武田家たけだけ宝物ほうもつ御旗みはた楯無たてなしひつをせおって、うら庭づたいに、扇山せんざんへとよじのぼっていった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)