戸室とむろ)” の例文
そのうちも心のく、山はと見ると、戸室とむろが低くなって、この医王山が鮮明あざやか深翠ふかみどり、肩の上から下に瞰下みおろされるような気がしました。
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その山の前に、戸室とむろというのが一つ聳えていましたが、それよりも一層いっそう紫いろをして、一層静かになって見えました。
不思議な国の話 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
白山に天の雪あり医王山いわうさん次ぎて戸室とむろも酣の秋
晶子鑑賞 (新字旧仮名) / 平野万里(著)
そこで小児こどもは、鈴見すずみの橋にたたずんで、前方むこうを見ると、正面の中空なかぞらへ、仏のてのひらを開いたように、五本の指の並んだ形、矗々すくすく立ったのが戸室とむろ石山いしやま
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
戸室とむろ石山いしやまの麓がすぐながれに迫るところで、かさなり合った岩石だから、路は其処そこで切れるですものね。
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)