懲々こり/″\)” の例文
……杉山の子息……あれア、今は徴集されて戦争いくさ(日清戦争)に行つてるだ。あの山師にや、村ではもう懲々こり/″\して居るだア。
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
「お齒の大變には懲々こり/″\して居るよ、その度毎に泥足で飛上がつたり、煙草盆を蹴飛ばしたりするんだから——」
「真理」や「道徳」は、今日まで長い間気の弱い男や、醜い女と道伴みちづれとなつたので懲々こり/″\してゐる。近頃は強い男と、美しい女と一緒でなければ滅多に尻を揚げようとはしない。
「何だか手数のかゝるお話でございますのね。子供のお客様ごつこぢやありますまいし、お返ししたものを、また返していただくなんて、もう一度お預かりした丈で、懲々こり/″\いたしましたわ。」
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
そこは懲々こり/″\だよと口の内で云って、こちらへおいでとあごで招いて居ると、やがて来のは同じ年配で、御召の大縞の上着に段通だんつう織の下着、鼠緞子どんすの帯を締め、芸子潰しに銀のあばれよりという扮粧こしらえ
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
「私はもう、あんな女達に掛り合ふのを懲々こり/″\してをりました」