憫然かわいそう)” の例文
新吉は此の金を持って遊び歩いてうちへ帰らぬから、自分はかえって面白いが、只憫然かわいそうなのは女房お累、次第/\に胸のほむらえ返る様になります。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
尼「さア此方こちらへお這入りさア/\さすって上げましょう憫然かわいそうに、此の子が小さい手で押しても、擦っても利きはしない、おゝひどく差込んで来る様だ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
その傍の柱の所に年の頃十六七になります器量のい娘が縛られておりました、あゝ荒々しいなさけない事をする、何処から勾引かどわかして来たか憫然かわいそうにと存じまして
惣「決して構わんでは困ります、看病人が無いから決して構わんと云ってはお園が憫然かわいそうだから、それはね、ま構ってもいゝがね、少しそこをうか構わぬ様に」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
うかえ、私と寝られゝばお父様は帰らないでも嬉しいとお思いかえ、然うお云いだと誠にお前がなア憫然かわいそうで、なに可愛くなってね、どんなに私が嬉しいか知れないよ
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
案外粥河圖書一にんで参って掛合になりましたが山三郎はお前が盗賊だから遣らんとは申しません、わしいもとをお前の女房にやって又生埋いきうめにされると憫然かわいそうだからと申しました。
山「憫然かわいそうに、己も颶風はやてと知って居れば来やアしない、騒いではいかんよ、二里も沖へ出て居るから足掻あがいてもいかんよ、騒いでも仕方がない、まア気をしっかり船につかまって居な」