“慢(ほこ)” の例文
この国が致命的な困難に際会しようとも、そのために僕はますます、世界におけるわれわれの使命をあくまで慢(ほこ)りつづけるだろう。
阿Qは形式上負かされて黄いろい辮子(べんつ)を引張られ、壁に対して四つ五つ鉢合せを頂戴(ちょうだい)し、閑人はようやく胸をすかして勝ち慢(ほこ)って立去る。
阿Q正伝 (新字新仮名) / 魯迅(著)
人類の前進のためには、常に高峰の上に勇気という慢(ほこ)らかな教訓がなければならない。豪胆は歴史を輝かすものであって、人間の最も大なる光輝の一つである。曙光(しょこう)は立ち上る時に敢行する。
ところが十秒もたたないうちに阿Qも満足して勝ち慢(ほこ)って立去る。阿Qは悟った。乃公は自(みずか)ら軽んじ自ら賤(いや)しむことの出来る第一の人間だ。
阿Q正伝 (新字新仮名) / 魯迅(著)
別に急ぎもせずに揚々と歩きながら、樹木の新芽をながめたり、通り過ぎる小娘の衣裳をながめたりしていた。そして慢(ほこ)らかに言っていた。
阿Qはしばらく佇んでいたが、心の中(うち)で思った。「乃公はつまり子供に打たれたんだ。今の世の中は全く成っていない……」そこで彼も満足し勝ち慢(ほこ)って立去る。
阿Q正伝 (新字新仮名) / 魯迅(著)
自分の主義の慢(ほこ)りさえ傷つかなければ、主旨の勝利なんかはどうでもよいとするかもしれなかった。
その不思議な民族は、征服者たるローマの古着と法則とを己が思想に着せかけて、妙な慢(ほこ)りを感じながらも、古いケルトの香気を幾世紀間も強く保存してきたのであった。
自分で自分をこしらえ上げた人間であり、自分の筋肉と意志とを慢(ほこ)ってる強健な立身者たる彼は、みずから少しも力をもっていない人々を、やくざ者だと見なしがちであった。
そして、そういう戦いの辛辣(しんらつ)な味を味わった人々にとっては、アングロ・サクソン人のあれほど慢(ほこ)りとしてる無感情的な信仰の自由も、男らしからぬ無味乾燥なものだと思われるのだった。
しかしまた慢(ほこ)らかに考え添えた。