ひか)” の例文
と云って、のままに立去たちさるほどの断念あきらめは付かぬ。断念の付かぬのも無理はない。重太郎は宝に心をひかされて、徒爾いたずらに幾日かを煩悶のうちに送った。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
案事あんじけれどもお菊がなさけひかされて毎夜々々通ひはなすものゝ何時もとまる事なく夜更よふけて歸りけるが今夜も最早もはや丑刻やつすぎ頃馬喰町へぞ歸りける然るに先刻さきより樣子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
重役へ願ひしが自己じこ言状いひじやうを立んとて取上られずよんどころなく今朝直願に及びしが是又御親子の御愛情あいじやうひかされ給ひ筋違すぢちがひの事重役を蔑如べつじよし大法に背くとの趣きにて重き上意をかうむり予は閉門へいもん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)