悪寒をかん)” の例文
旧字:惡寒
私は耳が鳴つたり腰が痛んだりする自分に返つて、それが身に附き纏ふ持病のやうに離れないことを思つて見た時は、一種の悪寒をかんを覚えた。
(新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
熱はそのせゐだらうといふので氷をあててみたが、あまり悪寒をかんが続くので、彼は、ふと紅頭嶼で千久馬がやはりこんな風な症状だつたことを想ひ出し、医者にその話をしてみた。
双面神 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
暑気はなはだし。再び鎌倉に遊ばんかなどとも思ふ。薄暮はくぼより悪寒をかん。検温器を用ふれば八度六分の熱あり。下島しもじま先生の来診らいしんを乞ふ。流行性感冒のよし。母、伯母をば、妻、児等こら、皆多少風邪ふうじやの気味あり。
へえーねつがござりますか。殿「ウム、四十九ばかりある。井上「其様そんなにあるわけはござりませぬ、それぢやア死んでしまひますから。殿「アヽ成程なるほど、三十七あるの、時々とき/″\悪寒をかんする事があるだらう。 ...
華族のお医者 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)