息遣いきづか)” の例文
昨夜ゆうべよいから容子が変なので行李の産所へ入れるとは直ぐ飛出して息遣いきづかいも苦しそうに喏々ニヤニヤきながら頻りと身体からだをこすりつけて変な容子をする。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
が、男の苦しそうな息遣いきづかいが、聞えるばかりで、相手は身動きもしないようであった。お梶も居竦んだまま、身体をわなわなと顫わせているばかりであった。
藤十郎の恋 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
私は蒼い顔をして、断末魔だんまつまのようなせわしない息遣いきづかいをしつゝ、心の中でこう叫んで見る。
恐怖 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
三平などはあれを飲んでから、真赤まっかになって、熱苦あつくるしい息遣いきづかいをした。猫だって飲めば陽気にならん事もあるまい。どうせいつ死ぬか知れぬ命だ。何でも命のあるうちにしておく事だ。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
大分苦しい息遣いきづかいであった。
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)