性情せいじょう)” の例文
ママの意図いととしては、フランス人の性情せいじょうが、利に鋭いと同時に洗練された情感と怜悧れいりさで、敵国の女探偵を可愛かわゆく優美に待遇する微妙な境地を表現したつもりでしょう。
かの女の朝 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
好漢惜しむらくは性情せいじょうであり短慮であった。まだまだ彼の勇は蜀のために用うる日は多かったのに、桃園の花燃ゆる日から始まって、ここにその人生を終った。年五十五であったという。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また実行と性情せいじょうはあくまでも熱烈たるべし。ことにあたるに果断かだんなくてはならぬが、その果断も一時的感情より来たるものはあやまりやすいから、思慮しりょの上にも思慮をめぐらして、定めねばならぬ。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
そして何事もずばずばとは言い切らないで、じっとひとりで胸の中にたたえているような性情せいじょうにある憐れみさえを感じているのだ。彼はそうした気持ちが父から直接に彼の心の中に流れこむのを覚えた。
親子 (新字新仮名) / 有島武郎(著)