快然かいぜん)” の例文
陶土とうどの破片、水のしぶき、それが快然かいぜんたる一爆音を発して、光秀のおもてから胸へね返った。光秀は、濡れた顔を、夜空へあげて、呵々かかと笑った。独りで笑っていた。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
英気勃々ぼつぼつとして我こそ姫君の選に預からんと心ひそかに期する所あるは独身者の若紳士なり。中川兄妹は主人方の手伝い役、小山夫婦は来客の間を周旋しゅうせんし、大原満は快然かいぜんとして得意の色あり。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
いかにも快然かいぜんといった、先生の教えるところはつねにこういう風なのであった、先生はどんな事件に対してもかならずはっきりした判断をさせるのであった、たとえそれが間違いであっても
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
すぐ正成は快然かいぜんとこう思った。
赤坂城の謀略 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
と秀吉は、前後の疑問が、初めて解けたような顔して、快然かいぜんと彼を見直した。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
富士男は快然かいぜんとして自分の胸をたたいた。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)