“忍音”の読み方と例文
読み方割合
しのびね100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
思わず、忍音しのびねを立てた——見透みすかす六尺ばかりの枝に、さかさまに裾を巻いて、毛をおどろに落ちかかったのは、虚空に消えた幽霊である。
怨霊借用 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
狭山はやがて銚子ちようしを取りて、一箇ひとつの茶碗に酒をそそげば、お静は目を閉ぢ、合掌して、聞えぬほどの忍音しのびね
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
男はやみの中にも、遂ぞ無い事なので吃驚びつくりして、目をまろくしてゐたが、やがてお定は忍音しのびね歔欷すすりなきし始めた。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)