ひっ)” の例文
しかも先生の進むは早くして吾が追歩のはなはだ寛なりし恨みを感ぜざりしはまれなり、思うに先生の門に入りしもの、何人も如叙にょじょの感を抱けるやひっせり
絶対的人格:正岡先生論 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
ゆえに私塾の教師は必ず行状よきものなり。もし然らずして教師みずから放蕩無頼を事とすることあらば、塾風たちまち破壊し、世間の軽侮をとることひっせり。
「長安は魏の肺心はいしんくらいする要地。わが遠征の長日にわたるべきを察して、孔明がさとくも虚を衝かんとするきざしたりやひっせりである。それは一刻も捨ておかれまい」
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今日より見ればその見識のひくきこと実に笑うに堪えたり。けだし芭蕉は感情的に全く理想美を解せざりしにはあらずして、理窟りくつに考えて理想は美にあらずと断定せしやひっせり。
俳人蕪村 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
これを来すことひっすべき故、果然と名づくと『本草綱目』に見え、『唐国史補』には楽羊がくよう史牟しぼうが立身のために子甥しせいを殺したは、人状獣心、この猴が友のために命を惜しまぬは
さすれば、洛内の手薄たることやひっせりでありましょう
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)