微苦笑びくしょう)” の例文
が、ふと彼の足もとに僕等のころがっているのを見ると、あざやかに歯を見せて一笑した。Mは彼の通り過ぎたのち、ちょっと僕に微苦笑びくしょうを送り
海のほとり (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
と、微苦笑びくしょうをもらしながら、しばらく、腕をこまぬいて黙想に耽っていたが、やがてジジジジジと机の自鳴鐘とけいが鳴り出すと共に
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
で、「ええ、思いませんとも」真面目に言いきりましたが、そういう口のから、へんに肉感的な微苦笑びくしょうが、唇をゆがめるのを、おさえられませんでした。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
「……」探偵は無言で微苦笑びくしょうをした。「僕は結局大した働きもしませんでしたよ。磯崎いそざきのジュラルミン工場のオヤジが、ウルフであることを偶然発見したこと位です」
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
贅沢ぜいたくを云いなさんな」長造は微苦笑びくしょうして、末ッ子達をおさえた。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)