御神酒おみき)” の例文
自身番じしんばんへ馳けこんで、ちょうど外の涼み台で、祭りの御神酒おみきみかわしていた番太ばんたや、同心どうしんたちへ早口にうったえた。
鍋島甲斐守 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もう御神酒おみきがまはつたと見えて、小鬢こびんの禿まで赤くしながら、さすがにちつとは恥しいのか、なるべくおれの方を見無えやうに、側眼わきめばかり使つてゐやがる。
鼠小僧次郎吉 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
神棚から御神酒おみき徳利でも落ちましたのを、慌てて地震と申したのが、家から家へ、ものの五分間ともたちませぬ内に、熱海中、鳴り渡りました儀かとも存じまするが。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
皆神棚へ上げて御神酒おみきを供え拝んでもいくらいの物だから、よく覚えて置け、あゝ有難い
のぼりを立てたり大鼓たいこを叩いたり御神酒おみきを上げてワイ/\して居るから、私は可笑おかしい。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「君ちゃん。神棚の御神酒おみきと、それからお米を持って来ておくれ」
両国の秋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
御神酒おみきをあげましょうか」
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そこで、御神酒おみきを進ぜました。あびらうんけんそわかと唱えて、押頂いて飲んだですて……
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)