御法度ごはつと)” の例文
月が瀬名物の狗の先曳はそれで御法度ごはつとになつた。それから幾年か経つた今日この頃、花は咲き、人は法制局長官になつて、どちらもにこ/\してゐる。
「その梅屋敷の隣に、近頃紫御殿といふのが出來ましたよ。江戸では御法度ごはつとの銅瓦三階建、何とか院樣の御許しがあるとかで、町方で手のつけやうはねえ」
途中にひたりとて挨拶あいさつなど思ひもかけず、唯いつとなく二人の中に大川一つ横たはりて、舟もいかだも此処には御法度ごはつと、岸に添ふておもひおもひの道をあるきぬ。
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
御退おしりぞけ下さるべしと言るゝに伊豆守殿顏色がんしよくかへ是れ越前其方は役柄やくがらをも相勤あひつとめ候へば斯程かほどの事はわきまへ居るべし老中らうぢうの公用人は目付代めつけかはりなり役屋敷やくやしきに於て密談みつだん致す事は元より御法度ごはつとなりと申さるゝを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「清へ渡るのは、御法度ごはつとぢやありませんかね。」
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
駈込み訴へは御法度ごはつとだ。
権三と助十 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
御法度ごはつとの惡いことをしてゐたにしても、主人を訴人して菱屋を取潰した金藏が、主人の娘のお茂さんと祝言するといふのは見ちやゐられません。それでは人間の道が違ひます。
ふねいかだ此處こゝには御法度ごはつときしふておもひおもひのみちをあるきぬ。
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「旦那、鐵砲の賣買は嚴しい御法度ごはつとで御座いますよ」