御寝げし)” の例文
旧字:御寢
またそうまでにはなさらぬお方も、いざ、という時の御用心に、手廻りのものなんざ、御寝げしなります時、枕許まくらもとへお引きつけ遊ばしてお置きになります始末。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
折角お帰り遊ばしてもわたくしが参って居りますから又すぐほかへ入らっしゃるのはわたくしがお邪魔になって…それでお腹立なれば、明朝帰りますから御勘弁遊ばして、何卒どうぞ御寝げしなって
「まあ、まあ、御安心を遊ばして御寝げしなりまし、と申しました処で、夫人おくさまは何も手前どものように、ちっともお驚きなりませんのでござりますから、別に。」
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
殿様はお酒を召上ると正体なく御寝げしなさる、又召上らなければ御寝なられません故、少しあがって下さい、余りよく御寝なると、どんな英雄でも、随分悪者の為に如何いかなる目に逢うかも知れません
「はい、手術の済みますまで、ちょっとの間でございますが、御寝げしなりませんと、いけませんそうです」
外科室 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
やま「それでも夜分は一緒に御寝げしなるじゃアございませんか」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
おれでさえぞくぞくする、病人はなおのッた、お客様ももう御寝げしなりまし、お鉄や、それ。
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ひびあかぎれの手を、けちで炭もよくおこさないから……息で暖めるひまもなしに、鬼婆の肩腰を、さするわ、むわ、で、そのあげくが床の上下あげおろし、坊主枕のおおいまで取りかえて、旦那様、御寝げしなれだ。
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)