御兄おあに)” の例文
「そんな事をまだ覚えていらっしゃるんですか。貴夫あなたも随分執念深いわね。御兄おあにいさんが御聴きになったらさぞ御驚ろきなさるでしょう」
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
仙台の師団に居らしッた西田若子さんの御兄おあにいさんが、今度戦地へ行らッしゃるので、新宿の停車場を御通過おとおりなさるから、私も若子さんと御同伴ごいっしょ御見送みおくりに行って見ました。
昇降場 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
「そのうちちょっと逢いたいと思う事があるのだ。実はこの間偶然電車の中でお宅の御兄おあにさんにお目にかかってな……。」と老人は言いかけて咳嗽せきをしながら眼鏡越しに鶴子の顔を見た。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
わたくしもらふと云つたかたなの。ほゝゝ可笑をかしいでせう。美禰子さんの御兄おあにいさんの御友達よ。わたくしちかうちに又あにと一所にうちを持ちますの。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「青山から御兄おあにいさんが御見えになりました」と云った。代助は今すぐ行くむねを答えて、奇麗に身体を拭き取った。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
青山あをやまから御兄おあにいさんが御見えになりました」と云つた。代助は今直いますぐむねを答へて、奇麗に身体からだつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
いやぢやないが、御兄おあにいさんにだまつて、あなたからりちや、くないからです」
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
御兄おあにいさんは下宿をなすつたさうですね」と聞いたら、よし子は、すぐ
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
御兄おあにいさんも困っていらしってよ」
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)