りっ)” の例文
つい乳母うばや子守を頼むような気になる。しからば教師たるものは何を標準として自己をりっするか。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
だが、諸戸の様な、謂わば変質者を、常軌じょうきりっすることは出来ぬのだ。彼は異性に恋し得ない男ではなかったか。彼は同性の愛の為に、その恋人を奪おうと企てた疑いさえあるではないか。
孤島の鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
踏む石は天鵞毧びろうどのごとくやわらかと見えて、足音をしょうにこれをりっすれば、動かぬと評しても差支さしつかえない。が輪廓は少しく浮き上がる。余は画工だけあって人体の骨格については、存外ぞんがい視覚が鋭敏である。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)