強雨ごうう)” の例文
これも其処から思いついた句で、こう小止みなく強雨ごううが降っては、極端富士山を湖へ戻してしまうであろうというのである。
俳句はかく解しかく味う (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
雨のあしの当たる所はどんな所も突き破られるような強雨ごううが降るのである。こうして世界が滅亡するのかと皆が心細がっている時に、源氏は静かに経を読んでいた。
源氏物語:12 須磨 (新字新仮名) / 紫式部(著)
元来旅順ほど小山が四方よも割拠かっきょして、禿頭を炎天にさらっている所はない。が乏しい土質どしつへ、遠慮のない強雨ごううがどっと突き通ると、傾斜の多い山路の側面が、すぐ往来へくずれ出す。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ことしは雨の多い年でして、うるうの五月あたりから毎日よく降りました。当年のように強雨ごううの来たことは古老も覚えがない、そんなことを申しまして、一時はかなり心配したくらいでした。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「怖かないけど、もし強雨ごううにでもなっちゃ大変ですからね」
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)