弘福寺こうふくじ)” の例文
それでも亀井家のお墓所弘福寺こうふくじが近くにあるので、まずそこへだけはと、お祖母様とお母様とに連れられて、お参りに行きました。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
この仲のよくない爺婆の石像は、明治時代になって、しばらくどこへ行ったか行く方不明になっていましたが、後に隅田すみだ川東の牛島うしじま弘福寺こうふくじへ引っ越していることが分りました。
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
弘福寺こうふくじの現住墨汁師は大正五年にってからも、捜索の手をとどめずにいた。そしてとうとう下目黒しもめぐろ海福寺かいふくじ所蔵の池田氏過去帖かこちょうというものを借り出して、わたくしに見せてくれた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
小石川富坂こいしかわとみざか源覚寺げんかくじにあるお閻魔様えんまさまには蒟蒻こんにゃくをあげ、大久保百人町おおくぼひゃくにんまち鬼王様きおうさまには湿瘡しつのお礼に豆腐とうふをあげる、向島むこうじま弘福寺こうふくじにある「いし媼様ばあさま」には子供の百日咳ひゃくにちぜきを祈って煎豆いりまめそなえるとか聞いている。
そして新小梅町、小梅町、須崎町の間を徘徊はいかいして捜索したが、嶺松寺という寺はない。わたくしは絶望してくびすめぐらしたが、道のついでなので、須崎町弘福寺こうふくじにある先考の墓に詣でた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)