引浚ひきさら)” の例文
とさへ思つた父! われ/\少年時代の幸福の全部を引浚ひきさらつて行つてしまつた父! その父のためにこそわれ/\兄妹はどんなに悲しいいぢけた生活をして来たことか?
父の帰宅 (新字旧仮名) / 小寺菊子(著)
せん又九郎またくろうと云う夫婦が有ってそれが私が泊って翌日立とうかと思うと、寒さの時分では有るが、誠に天のばちで、人が高い給金を出して抱えて居る女郎じょうろ引浚ひきさらって逃げた盗賊の罪と
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
鷲は鶴を引浚ひきさらつていくつもりですが、鶴も今は必死ですから、その長いくちばしやりのやうに使ひ、その羽に力をこめてふせぎながら、すきがあつたら逃げようと、だんだん下へ/\と舞ひ下つて来ました。
子良の昇天 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
脊負せおった物もまた母が持って居た多分の金も引浚ひきさらっての尼が逃げました。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)