建久けんきゅう)” の例文
建久けんきゅう九年十二月、右大将家うだいしょうけには、相模川さがみがわの橋供養の結縁けちえんのぞんだが、その帰途馬から落ちたので、供養の人びとに助け起されてやかたへ帰った。
頼朝の最後 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
佐々木は建久けんきゅうのむかし此の磯部に城を構えて、今も停車場の南に城山の古蹟を残している位であるから、こけの蒼い墓石は五輪塔のような形式でほとんど完全に保存されている。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
そして充血して赤くただれた眼と、陽にあたらないためにろうのように青白くなった顔をもって、大蔵だいぞうの闇から彼がこの世へ出てきた時には、世は木枯こがらしのふきすさぶ建久けんきゅう七年の真冬になっていた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)