延若えんじゃく)” の例文
私は5+5を羽左衛門うざえもんがやると100となったり、延若えんじゃくがやると55となったり、天勝てんかつがやると消えせたりするような事をおおいに面白がる性分しょうぶんなのである。
楢重雑筆 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
延若えんじゃくだの団十郎だんじゅうろうだの蝦十郎えびじゅうろうだの、名優の名がそのころ彼の耳についていた。金が夢のようにつかいはたされて、彼らが零落の淵に沈む前に、そうしたこの町相当の享楽時代があった。
挿話 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
松竹は芸術座を買込み約束が成立すると、そのさきがけに明治座へ須磨子を招き、少壮気鋭の旧派の猿之助えんのすけ寿美蔵すみぞう延若えんじゃくたちと一座をさせ、かつてとかく物議ぶつぎたねになった脚本をならべて開場した。
松井須磨子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
神田かんだで生れたんですもの。なかなか気前のいいや。延若えんじゃくを喰わえだして、温泉宿から電報で家へお金を言ってこようという人ですもの。ああいうのが芸者でしょうね。どうして腕っこきですよ。
挿話 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)