廣濶くわうくわつ)” の例文
新字:広濶
其眺矚そのてうしよくや甚だ廣濶くわうくわつなるにあらず、否、此處こゝよりはその半腹を登り行く白衣はくいの行者さへ見ゆと言ふなる御嶽の姿も、今日けふは麓の深谷より簇々むら/\と渦上する白雲の爲めに蔽はれて
秋の岐蘇路 (旧字旧仮名) / 田山花袋(著)
昨日きのふ仰ぎし惠那岳えなだけは右に、美濃みの一國の山々は波濤の打寄するが如く蜿蜒ゑんえんつらなわたりて、低き處には高原をひらき、くぼき處には溪流をはしらせ、村舍の炊烟すゐえん市邑しいう白堊はくあ、その眺望の廣濶くわうくわつなる
秋の岐蘇路 (旧字旧仮名) / 田山花袋(著)