平板へいばん)” の例文
石の平板へいばんの縁が木の台からすべった、それから彼等の身も魂も、絶壁から振りおとされるような、奈落に落ちこむようないやな気持ちになった。
この歌は、志貴皇子の他の御歌同様、歌調が明朗・直線的であって、然かも平板へいばんおちることなく、細かい顫動せんどうを伴いつつ荘重なる一首となっているのである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
宗助そうすけんなあたらしい刺戟しげきもとに、しばらくは慾求よくきう滿足まんぞくた。けれどもとほふるみやこにほひいであるくうちに、すべてがやがて、平板へいばんえだしてた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
これは又同氏の作品を時々平板へいばんをはらせてゐる。が、この一点に注目するものはかう云ふ作品にも満足するであらう。世人の注目をかなかつた、「廿代一面にじふだいいちめん」はかう云ふ作品の一例である。