常態つね)” の例文
取次いでも無益むやくなれば我が計ふて得させんと、甘くあしらへば附上る言分、最早何も彼も聞いてやらぬ、帰れ帰れ、と小人の常態つねとて語気たちまち粗暴あらくなり
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
と小人の常態つねとて語気たちまち粗暴あらくなり、にべなく言い捨て立たんとするにあわてし十兵衛、ではござりましょうなれど、と半分いう間なく、うるさい、やかましいと打ち消され
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
もういけやせぬ、と空辞誼そらじぎは五月蠅ほど仕ながら、猪口もつ手を後へは退かぬが可笑き上戸の常態つね、清吉既馳走酒に十分酔たれど遠慮に三の真面目をとゞめて殊勝らしく坐り込み
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
もういけやせぬ、と空辞誼そらじぎはうるさいほどしながら、猪口ちょくもつ手を後へは退かぬがおかしき上戸じょうご常態つね、清吉はや馳走酒ちそうざけに十分酔ったれど遠慮に三分の真面目をとどめて殊勝らしく坐り込み
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)