帝釈様たいしゃくさま)” の例文
門徒へ宗旨替しゅうしがえをして、帝釈様たいしゃくさまのお掛地かけじを川へ流すやら、七面様の御影みえいを釜の下へ入れて焼くやら、大騒ぎをした事があるそうである。
ひょっとこ (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
七「まことに宜くお出でなすった、帝釈様たいしゃくさまへおまいりに行こうと思って、帰りがけにお寄り申そうとおうめとも話をして居たが……お梅」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
おぬい おッかさんは帝釈様たいしゃくさまへ。もう帰ってくる時分だよ。兄さん今の手紙をお出しよ。
瞼の母 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
ある日もアンポンタンはおまっちゃんと四ツ角で、その大人の、目覚めざましい狂奔きょうほんを見物していた。すると、帝釈様たいしゃくさまの剣に錦地にしきじ南無妙法蓮華経なむみょうほうれんげきょうのぼりをたてた出車だしの上から声をかけたものがある。
帝釈様たいしゃくさま御符ごふを頂いたせいか、今日は熱も下ったしね、この分で行けばなおりそうだから、——美津みつ叔父おじさんとか云う人も、やっぱり十二指腸の潰瘍かいようだったけれど、半月ばかりで癒ったと云うしね
お律と子等と (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
おきんちゃんのうちも日蓮宗狂だが、此家ここの二人もそうだった。長四畳には帝釈様たいしゃくさまひげ題目の軸がかかっていて、お会式えしき万燈まんどんの花傘の、長い竹についた紙の花が丸く輪にして上の方にかかっている。