布袋屋ほていや)” の例文
兄は十九で京橋の布袋屋ほていやという大きい呉服屋さんへ奉公に出ていまして、その年季のあけるのを母は楽しみにしていたのでございます。
蜘蛛の夢 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「繩張り違ひは承知の上ですが、布袋屋ほていやの旦那が、石原の親分ぢや心もとないから、錢形のに見て貰つてくれつて言ひますぜ」
ほか布袋屋ほていやふ——いまもあらう——呉服屋ごふくやがあつたが、濱野屋はまのやはう主人しゆじんが、でつぷりとふとつて、莞爾々々にこ/\してて、布袋ほてい呼稱よびながあつた。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
鼻緒もうございましょうが、家内が綿をむことを覚えて近所の娘子むすめこに教えるので、惠比壽屋えびすやだの、布袋屋ほていやだの
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「縄張違いは承知の上ですが、布袋屋ほていやの旦那が、石原の親分じゃ心もとないから、銭形のに見て貰ってくれって言いますぜ」
布袋屋ほていやの主人萬三郎は、小判を五六枚鼻紙にひねると、平次の袖へそつと滑らせました。
「親分、布袋屋ほていやの旦那が、ちよいとお話申し上げたい事があるさうで——」