差遣さしつかわ)” の例文
皇儲こうちょ石本陸相の身体を懸念あらせられ、おか侍医を差遣さしつかわせさせ給うと聞き、岡の診察するに先だちて会見せんと岡に申し遣るとあり、四日には、官邸に行き
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
右健三三歳のみぎり養子に差遣さしつかわ置候処おきそろところ平吉儀妻へいきちぎさいつねと不和を生じ、遂に離別と相成候につき当時八歳の健三を当方へ引き取り今日こんにちまで十四カ年間養育致し
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それは、今年(明和五年)の二月、朝廷で立太子の大礼があり、幕府からも祝儀のため使者を差遣さしつかわした。
初夜 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
貞丈あんずるに、一銭切というは、犯人に過料銭を出さしむる事ならん。切の字は限なるべし。其過料を責取るに、役人を差遣さしつかわし、其犯人の貯へ持たる銭を有り限り取上る。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
八月には神祇官から宮主一人卜部うらべ三人が差遣さしつかわせられ、それが二人ずつ両国に入って行くが、その一人を稲実卜部、一人を禰宜ねぎ卜部と号するとあって、職掌は明示せられていない。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)