川並かわなみ)” の例文
川並かわなみの三次郎(五十歳近い)が、角材の下に転木ころぎ——二本か三本——を入れ、そのゆがみを正しながら「ようッこのウ」と音頭をとっている。
中山七里 二幕五場 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
川並かわなみ人夫のあやつるところの長柄のとびに、その手心は似ているにちがいない。いかだにくめば顛動てんどうする危なかしさもないであろう。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
前田利家父子の持ちは、塩津から堂木だんぎ、神明山にわたる一線の警戒にあり、そのため前田隊の兵二千は、権現ごんげん坂から川並かわなみ村の高地茂山しげやまあたりにかけてまっていた。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
深川木場きばは今でも材木の本場、鉄筋コンクリートにけおされて昔のような景気はないが、板割を扱うハガラ屋、カク材を主とする角問屋とあってこの角屋に出入りする川並かわなみという人夫
明治世相百話 (新字新仮名) / 山本笑月(著)
川並かわなみ林太郎というの。」
あたまでっかち (新字新仮名) / 下村千秋(著)
越え、川並かわなみ茂山しげやまを経て引揚ぐるほどに、彦次郎一手の者は、しっぱらいしつつ後より来いと——
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)