“巌々”の読み方と例文
読み方割合
がんがん100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
巌々がんがんたる岩と岩との間、水晶のれんを懸けたような女滝を浴びつつ、今しも痩せたる一人の行者は、一念一心に右手めての鈴を振りながら、禁慾鍛身たんしんの苦行三昧。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
知れる目よりはこの大山たいさん巌々がんがんとして物に動ぜぬ大器量の将軍をば、まさかの時の鉄壁とたのみて、その二十二貫小山のごとき体格と常に怡然いぜんたる神色とは洶々きょうきょうたる三軍の心をも安からしむべし。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
富士の白妙しろたえ銀細工ぎんざいくのものなら、とッくに見るかげもなく、くすぶッてしまったところだ。見よ、さしも人穴ひとあな殿堂でんどうすべて灰燼かいじんし、まるでおに黒焼くろやき巌々がんがんたる岩ばかりがまっ黒にのこっている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)