岸々がんがん)” の例文
一木一草なき岸々がんがんたる焼け山や焼け河原を越え、ようやく峰また峰をめぐって、密林地帯に入ると、王平が迎えにきて、直ちに、孔明の車を四泉のほとりへ案内した。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
でも、まだ後ろを振顧ふりかえれば、八王子、小仏村、小原、駒木根あたりの灯は近く見えて、越えようとするこれから先の山容は、岸々がんがんとした難所切所せっしょを目の前に見せている。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
洞窟は、立って自由に出這入ではいりでき、ふところも広く、奥行は数十歩にして尽きるが、岸々がんがんたる大岩の袖で囲まれており、なるほど、瞑想するには、ふさわしい場所である。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あたかも辺りにある岸々がんがんたる岩のごとく、金吾を青二才あつかいに睥睨へいげいしている口吻こうふんです。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その間は西方の沢がすそをひいて、まるで漆壺うるしつぼのような闇の盆地を抱いている。淙々そうそうとして白きは水、岸々がんがんとして高きは岩、関羽や関平の駒は幾たびも石ころや蔓草つるくさにつまずきかけた。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夏侯惇かこうじゅん曹洪そうこうの二陣がひかえ、交通守護軍、監戦使には、許褚きょちょ張遼ちょうりょうなどの宗徒むねとともがらが、さながら岸々がんがんの岩を重ねて大山をなすがごとく、水上から高地へかけて、固めに固めていた。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おういっ」岸々がんがんと肩をいからしている声だった。すると、木魂こだまのように
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)