山藤やまふじ)” の例文
烏戈国うかこくの山野いたる所、山藤やまふじがはびこっているので、そのつるを枯らして後、油にひたし、また陽にさらしては油に漬け、何十遍かこれをくり返して、それでよろいを編むのです。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
開放された自然の美と、閉されたトンネルの陰鬱いんうつと、この明暗を繰返し繰返し、列車は急斜面を登って行く。そのうち、私はがけに突出した松の枝に紫の花房はなぶさあざやかな山藤やまふじを見つけて思わず
浴槽 (新字新仮名) / 大坪砂男(著)
買ってにおいの抜けないように山藤やまふじの葉へ包んで氷詰めにして帰って来て
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
ここも、この春は、平和に暮れて、松風の築山陰つきやまかげには、山藤やまふじの花が白々れていた。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)