屈伏くっぷく)” の例文
何でもい素晴らしくそしてしみじみと本質的なものに屈伏くっぷくさせられるような領土をかの女は世の中の方にもまだ欲しい。
かの女の朝 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
どうせ、こんな手合てあい弁口べんこう屈伏くっぷくさせる手際はなし、させたところでいつまでご交際を願うのは、こっちでご免だ。学校に居ないとすればどうなったって構うもんか。また何か云うと笑うに違いない。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
小作人は到底地主を屈伏くっぷくすることができなかった。
子供は虐待に黙従す (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのやわらかい筋肉とは無関係に、角化質かくかしつの堅いつめが短かくさきの丸いおさない指を屈伏くっぷくさせるように確乎かっこと並んでいる。此奴こいつ強情ごうじょう!と、逸作はその爪を眼でおさえながら言った。
かの女の朝 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)