居流いなが)” の例文
その隣りには、半年前に夫をうしなったというまだ艶々つやつやしい未亡人だの、そのめいにあたるという若い女だのが居流いながれていた。帆村はひとり離れて下座しもざにいた。
西湖の屍人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
次の日六兵衛は、生まれてから一度も手を通したことのない礼服れいふくをきせられ、お城に参上さんじょうしました。百じょうじきもある大広間には、たくさんの家来けらいがきら星のようにずらりと居流いながれています。
とんまの六兵衛 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
あとは、左右の障子とふすまに添って、村の煙火師ばかり、老若およそ七十余名もいようか、黒々と居流いながれたありさま、鎌倉山のごとく綺羅星きらぼしではないが、なかなか物々しい評定ぶりである。
銀河まつり (新字新仮名) / 吉川英治(著)