尻込しりごみ)” の例文
古島老刑事はひどく尻込しりごみをする。蜂矢探偵はにやにや笑ってみている。田山課長の顔がだんだんにがにがしさを増してきた。
四次元漂流 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その度毎たんびに苦い顔をされたが、何遍苦い顔をされても少しも尻込しりごみしないで口をくして諄々じゅんじゅんと説得するに努めたのは社中の弓削田秋江ゆげたしゅうこうであった。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
見習みならひしなるべし不埓ふらち至極しごくやつぢや九郎兵衞申開きありやと云れしかばグツと差支さしつかへ一言もなく尻込しりごみなすにより追々吟味に及ぶ下れと云るゝ時下役の者立ませいとこゑかけ一同白洲しらす
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
取て引擔ひきかつ斗筋打もんどりうた投付なげつけるに今一人も張倒はりたふ蹴返けかへながら發打はつたと白眼にらみ汝等二人は晝日中追落しする不屆者直樣すぐさま捕へ宿場へ連れ立ち御法通りにして呉ん首は入らぬか蠢蟲うじむしめと罵りければ惡徒共此勢に恐れけん尻込しりごみして只眞平御免まつぴらごめんわびるにぞ夫なら今日はゆるして呉んと言捨いひすてて是は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)