少頃しばし)” の例文
通し物は逸早いちはやく満枝が好きに計ひて、少頃しばしことば無き二人が中に置れたる莨盆たばこぼんは子細らしう一ちゆう百和香ひやつかこうくゆらせぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
白鞭を以て地を築いてあなと成す、虫を中に置き、その上に沃盥よくかんす、少頃しばし蠕々ぜんぜん長きがごとし、竅中きょうちゅう泉湧き、倏忽しゅっこつ自ずからわだかまる、一席のごとく黒気あり香煙のごとし、ただちに簷外えんがいに出で
少頃しばし納涼の時、尺ばかりの小蛇あり、游ぎ来り蘆梢に上り廻り舞う、下り水上を游ぐこと十歩ばかり、また還り蘆梢に上る初めのごとし、数次ようやく長丈ばかりと為る、けだしこれ升天行法か
少頃しばし有りて、かど入来いりきし女のおとなふ声して
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)