小社こやしろ)” の例文
夕陽の中を蜻蛉とんぼが二つ三つ飛んでいた。石磴をあがり詰めると檜の紛紛ふんぷんする小社こやしろがあった。勘作はその前に往って頭をさげて拝んだ。
ある神主の話 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
生品明神は、東山道に沿う道ばたの小社こやしろで、世良田ノ館からほぼ二里、方角は、北にあたる。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「——やれうれし、まずは事なく、都の外へ脱したるわ」と、名知らぬ小社こやしろの森蔭へおん輿をおろして、しばしおいこいの玉座となし、楽師兼秋が、わびたる禰宜ねぎの家へ行って
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
長者のむすめはじめ三人の沈んだ処は、福浦と云う処であった。浦戸港の入江に面した田圃たんぼの中には、そのあとだと云うはすの生えた小さな池があって、そこに三人を祭った小社こやしろがあった。
宇賀長者物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
見れば何かの小社こやしろと一堂がある。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)