小塚原こづかっぱら)” の例文
其の昔罪人は日本橋を中央として、東国とうごくの者ならば小塚原こづかっぱらへ、西国さいこくの者ならば鈴ヶ森でお仕置になりますのが例でございます。
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
玉乗り源氏節げんじぶしの踊を見に行くあり吉原小塚原こづかっぱらの女郎屋をぞめき歩くもあり、やがて松葉屋に帰りて一泊す。
桑中喜語 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
人通りのない小塚原こづかっぱら往還おうかんを、男女ふたりの影がならんでいそぐ——当り矢のお艶と蒲生泰軒。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
それを越えると浅草町で、それからは家がなくなってお仕置場しおきば小塚原こづかっぱら……千住せんじゅとなります。
講釈師がよく饒舌しゃべる、天保水滸伝てんぽうすいこでん中、笹川方の鬼剣士、平手造酒猛虎ひらてみきたけとらが、小塚原こづかっぱらで切取って、袖口に隠して、千住こつの小格子を素見ひやかした、内から握って引張ひっぱると、すぽんと抜ける
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
玄白たちが小塚原こづかっぱらの刑場で罪人のしかばね腑分ふわけする時の緊張などを、先生は特徴のあるゆっくりした語調で説いて聞かせたが、あの最初の講義は、自分の前途を暗示し激励してくれているようで
惜別 (新字新仮名) / 太宰治(著)
小塚原こづかっぱら天王の祭礼で、千住大橋の上では、南北にわかれて、吉例の大綱おおづなひき。深川村と葛飾村かつしかむら若衆わかいしゅが、おのおの百人ばかりずつ、太竹ほどの大綱にとりつき、エッサエッサとひきあっている。
顎十郎捕物帳:10 野伏大名 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
この一行が千住の小塚原こづかっぱらに着いた時分も、朝未明あさまだきでありました。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
長「なに小塚原こづかっぱらへ往くと、己やらねえ」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)