家名いへな)” の例文
家名いへななにかまはず、いま其家そこめようとする一けん旅籠屋はたごや駈込かけこみましたのですから、場所ばしよまち目貫めぬきむきへはとほいけれど、鎭守ちんじゆはうへはちかかつたのです。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
いづれも表の店口に家名いへなと並べて、御一泊御一人おひとりさまお食事付幾百円。
男ごゝろ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
隱して云ふに左らばと此宿このしゆくに泊る梅花道人茶店に待てありしが一つになり見ぬ事とて早足の自慢大げさなり脇に羽の生えた跡もなけれどさて宿にりて見れば家名いへなは忘れしが家居いへゐ廣く清らかにて隣りに大きな櫛店くしみせもあり宿しゆく中第一の大家とは知られぬ湯に入り名物の櫛を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)