字形じなり)” の例文
彼女が、笑ったのすら露八には意外だったのに、くの字形じなりにしていた体を、ついと、そばり寄せてきたのである。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
よだれを垂々たらたらと垂らしながら、しめた! とばかり、やにわに対手あいて玉将たいしょう引掴ひッつかむと、大きな口をへの字形じなりに結んで見ていたあかがおで、脊高せいたかの、胸の大きい禅門ぜんもんが、鉄梃かなてこのような親指で
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
だが、お菊ちゃんのまえにもう一人、泣いてでもいるらしい町風の嫋女たおやめがややくの字形じなりに坐って俯向うつむいている。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)