よろこ)” の例文
つまりさ、君が、日常よろこんだり、怒ったり、考えたり、悲しんだりすることがあるだろう。その最も君にそくしたことを書けって言うんだ。
かの女の朝 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
故に其必要とする快楽に於ても亦た、単に耳目をよろこばすといふのみにては足らぬ様になるなり。
葉子は、如何にも女の子らしく、よろこんで、大きな眼を開けた。
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
母はむしろよろこんでいる様子でした。二三ヶ月前の雑誌から目つかったあなたの歌なんか僕に見せるくらいですもの。或はそれとなく心がけて見つけたんじゃないかな
母子叙情 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
人懐ひとなつかしがりのかの女を無条件によろこばせ、その尊厳そんげんか、怜悧れいりか、豪華か、素朴か、誠実か
かの女の朝 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「張合のないことおっしゃるのね。あたしがあなたならよろこんで金魚屋さんになりますわ」
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
そして彼女はともかくも久しぶりで娘の帰るよろこびにいそいそと料理場に入って行った。
母と娘 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
この子が憎いという時にはなげき、この子が賢いとよろこんでもなげかれる、この子が愚しく見えても歎かれる。この子がいないでもなげかれるし、この子がいてうるさくてもなげきだ。
オペラの辻 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
かの女と逸作が、愛して愛して、愛し抜くことにって息子の性格にも吹き抜けるところが出来でき、其処から正直な芽や、怜悧れいり芽生めばえがすいすいと芽立って来て、逸作やかの女をよろこばした。
かの女の朝 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
人間はよろこんでそこへ棲み始めた。そのうちに、だんだんお腹がすき出したので、男は早速、神様のおっしゃったことを思い出し、空を仰いでお祈りを始めた。女もまた、地の上に伏して、お祈りした。
トシオの見たもの (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
ともかく私は娘の厚意をよろこんでそして
河明り (新字新仮名) / 岡本かの子(著)