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委細
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くはしく
委細申立ければ大岡殿
篤と
聞請られ早速に
組下の同心に申付られ藤澤宿大津屋段右衞門方へ
罷り
越右段右衞門を
召捕來るべしと遣はされたり
尋ねられし處多兵衞は少しく
誇り
面に喧嘩の次第まで
委細申立しにより
其物語りの
中廉々此節の一件に思ひ當りしことなど有ける
故夫となしに長々と多兵衞の申を
引つゝ阿部川宿の
宅へ
到見るに母は
中氣にて手足
協ず一人の娘を
相手に
難儀の樣子なり娘お節は母に向ひ右の次第を
委細話せば母は大いに驚き
且悦び九助に逢て
厚く禮を