如燕じょえん)” の例文
伯爵は苦笑にがわらい。「うふふふ、わし如燕じょえんになさる。そういうことをいわるると恐怖おっかない談話をするぞ、怪談を。」とおおする折しも、庭にて犬の鳴く声しきりなり。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「これは宝丹のじき裏の内でこしらえているのだ。この辺は便利のい所で、そのそばの横町には如燕じょえん佃煮つくだにもある」
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
私の愛読した『檜山実記——相馬大作』など「百猫伝」で知られた桃川如燕じょえんの速記だったとおぼえているが、開口一番、如燕自ら今日の講釈師の不勉強不熱心をさんざんにこき下ろして
落語家には乾坤坊良斎、五明楼玉輔たますけ、春風亭柳枝、入船米蔵がある。玉輔は馬生ばしょうの後の名である。講談師には二代目文車、桃川燕国えんこく、松林伯円がある。燕国は後の如燕じょえんである。
細木香以 (新字新仮名) / 森鴎外(著)